ひらすまさんが、大切に、本棚の上に置いているサイン本、伊藤洋志さんの『ナリワイをつくる』。古本屋さんをはじめるきっかけになった本なのだけど、この後、ひらすまさんは、まるで“その本のような人”に出会う。すごく、タイミングがいい。ご縁を引き寄せる時って、本当に続くものなんだな。
>>#4人生を変えた本とかご縁とか ひらすま物語・前篇はこちら
「正に『ナリワイをつくる』を体現している人がいて。その人、放浪書房のとみーさんといって、車に本を積んで、旅をしながら本を売ってる人なんだけど」
その、とみーさんが、たまたま富山にやってきた。ひらすまさんは、なぜかこの人に会ってみたいと思い、放浪書房に行ったらしい。
「放浪書房には、知らない本が沢山あって、衝撃を受けたんだよね」
「とみーさんに、おすすめされた『野宿野郎』って本が、その時にはもうなくて。あす、入荷するから環水公園においでって」
『野宿野郎』を手に入れるべく、環水公園に出かけていったひらすまさんは、その時初めて「古本屋に興味がある」と、とみーさんに打ち明けた。
「じゃあ、今度、一箱古本市(*)に出てみたら?」
(*)一箱古本市は、段ボール箱ひとつ分の古本を販売するもので、東京は谷根千にまたがる「不忍通り」での開催が発祥。どんな本をいくらで売るかは、店主の自由で、屋号をつけたり売り方を工夫したりと“本屋さんごっこ”が楽しめる。
そして話は、あれよあれよと進む。新潟県で開かれた一箱古本市で、ひらすまさんは、自分が読んだ本や集めた本などを携え、初めて古本を売った。実は、その時に『野宿野郎』の編集長も会場に来ていた。
「編集長と話した印象は…とにかく、ぶっ飛んでる女性で。『お店のようなもの』とかいうお店を開いてみたり。面白い方なんですよ。で、まぁ、その場で『野宿野郎』を一箱古本市で売っていいですか?て話をしたんですけどね」
この時の出会いをきっかけに、ひらすまさんは、後に『野宿野郎』を自身の本屋さんで取り扱うことになる。
「一箱古本市は、たった1日だったんですけど、とにかく楽しかったんです。本を介して来ているお客さんと話をするのも、出店者の皆さんと話をするのも」
「で、これ、その時に同じ会場で買った皮のコイントレイ。今でも使ってる」
いい味、出してるコイントレイを見て、思った。楽しいって、きっと正義だ。
ちなみに。一箱古本市で初めて売れた本、覚えてますか?
「それが。ぜんぜん覚えてないんだよね。ノーマンロックウェルの絵本だったかなぁ」
ひらすまさん、面白ろ過ぎるわ~
=つづく=
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文・写真/永井千晶