『Imaya北欧便り』#7LagomにFikaしよう!

2023/11/29 12:00:00

北欧と聞くと、人々がゆったりと、しあわせに暮らしているイメージが強いのではないかと思います。確かに北欧にいると、元々のんびり屋と言われる私でも、さらにのんびり過ごしているような気がします。そんなゆったりとした北欧の暮らしを表すキーワードをいくつかご紹介したいと思います。


【Lagom】ラゴムと読みます。以前、スウェーデンのミッドサマーパーティーについてご紹介しましたが。>>#3北欧の人たちが待ち望む日

パーティーのテーブルで、隣の男性にお酒をついでもらった時に、「どれくらい?」と聞かれ、「うーん普通でお願い」と答えると「Lagomね!」と言われました。これまでは、デンマークにいることが多く、あまり馴染みのない言葉だったので聞いてみると、「ちょうどよい」という意味らしく、スウェーデンではよく使う言葉なんだそうです。


語源は、かつてヴァイキングが使っていた【Laget om=仲間と分け合う】からきているそうで、『多すぎず少なすぎず、自分にちょうどいい量を選ぶ』こと。お酒だけに限らず、食事や仕事、遊びなど生活全般に使える言葉なのだとか。


確かに、スウェーデンの人たちの暮らしは、華美だったりモノが溢れていることはなく、かと言ってシンプルすぎず、自分の好きなものに適度に囲まれているような居心地の良い空間でした。それも、それぞれの【Lagom】を自分で知っているからなのだろうと思います。


好きなお庭で眠ることも…


もうひとつ、スウェーデンで欠かせない言葉が【Fika】、フィーカと読みます。【Fika】とはお茶の時間を表す言葉で、よく「Ska vi FIKA?」(お茶でもしよっか?)と言われます。


スウェーデン人は1日に数回、家族や友人、職場の同僚や上司、そしてひとりでも、コーヒーとお菓子で【Fika】をします。

友人のママ手作り・ベリーが沢山乗ったケーキ

【Fika】は、スイーツだけでなくペストリーをいただくことも。こちらも手作り。


友人がスウェーデンの伝統的なお菓子「セムラ」を作ってくれました。

カルダモン入りのパンに、アーモンドペーストと生クリームが入っているもので、もともとはイースター前の断食期間(四旬節)に入る前に食べられていました。今ではクリスマス明けからイースターまでの期間に食べられるお菓子です。

こちらは、「プリンセスケーキ」。スポンジケーキとクリーム、ラズベリー、マジパンで覆われた、これも伝統的なスウェーデンのお菓子です。誕生日をはじめ、行事や祝祭日の際には欠かせないものだそうです。


街には居心地の良いカフェが多くあり、私もアンティークの買い付けで足が疲れると、コーヒーと必ず甘いものを頼んでほっと一息しました。


そう言えば、デンマークや他のヨーロッパの人と比べると、スウェーデンの人は比較的シャイかな?と感じることがありました。そんなスウェーデンの人々が、職場で同僚たちと話したり、また気軽にデートに誘う手段としても、【Fika】がコミュニケーションの重要な位置にあるんだとか。慌ただしく過ぎる日常に、気軽に取り入れることができる、自分自身や人との繋がりを感じる大事なひと時のようです。

こんなネーミングのコーヒー豆も売っていましたよ


【Lagom】にしても【Fika】にしても、ちょっと力を抜いて、普段の生活を楽しむのが上手なスウェーデンの人々。何気ない日々をどうやって心地よく過ごすのか、暗く寒い季節が長い北欧だからこそ生まれた文化なのかもしれません。もしよければ、みなさんも【Lagom】や【Fika】を日常に取り入れてみてくださいね♪


>>前回のお話


【プロフィール】


鍋島 綾(富山県生まれ)

大学でデンマーク語と北欧社会福祉を専攻。

会社員勤めの後、アンティークバイヤーとして

2016年から北欧と日本の間を行き来している。


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企画・編集/永井千晶