2023年12月1日(金)、WEB版ページを公開しました。

『Imaya北欧便り』 #9デンマークの至宝『フローラダニカ』

2024/2/21 12:00:00

コペンハーゲンには素敵なミュージアムがたくさんあって、買い付けに行く度にいろんな美術館をまわるのが楽しみの一つでもあります。


今回、初めて行ったのは、Davis Samlingという美術館で、弁護士でもあり実業家でもあったC.L.Davidが生前に収集した美術コレクションが展示されています。なんとここ、年中無料開放なのです。



館内には、イスラムアートや、「室内画の画家」として知られるデンマークの代表的な画家ハマスホイの絵画など、個人収集とは思えないほどのたくさんのコレクションがあります。ハマスホイは、北欧のフェルメールとも言われているんですよ。


アンティークバイヤーの私が思わず魅了されたのがこちら。



デンマークの王室御用達ブランド、ロイヤルコペンハーゲンの“アイスベル”と呼ばれる、デザートのアイスクリームをサーブする時に使われていたという、貴重な逸品です。ドーム状の上の蓋をとると、浅いボウルのようなお皿があるんです。


こちらも同じロイヤルコペンハーゲンの『フローラダニカ』というシリーズのアイスベル。今から約240年前に作られたものです。フローラダニカは、ロイヤルコペンハーゲンの中でも最高峰のコレクションで、このシリーズは、1790年にデンマーク国王のクリスチャン7世の命令で、ロシアの女帝エカテリーナへの贈り物として制作されたのが、始まり。


〝世界で最も豪華なディナーサービス”と言われていて、いつか入手したいと思っていた念願のフローラダニカを、昨年、僅かですが入荷することができました。


フローラダニカとはデンマークの植物図鑑のことで、絵付け師がそこからモチーフを選び、1枚ずつ描いていくので、全く同じものは存在しません。


豪華でありながら、野の花の繊細な描写が可愛らしくもある、うっとりする1枚です。



Davis Samling美術館で、改めてフローラダニカに魅せられ、もっとコレクションを観たいと思って行ったのが、Davis Samling美術館からすぐのところにあるローゼンボー城。約1500点以上フローラダニカが、国宝として保管されているとのこと。




ローゼンボー城は王室の離宮として1606年に建設され、現在は王家の歴史や調度品、財宝や絵画がこれでもかというほど展示されています。



ここに、フローラダニカのコレクションが壁一面飾られている小部屋があるとのことで、楽しみに最上階へ上がりました。

最上階の大広間。王家を守る三頭の銀のライオン像が。奥には戴冠式で使われる王座が並ぶ。


ところが、どの小部屋をのぞいてもフローラダニカが見当たりません。おかしいなと思って係の人に聞いてみると、なんと今だけ別の都市の美術館に出張中とのこと。帰国が迫っており、残念ながらフローラダニカコレクションは見ることができませんでしたが、また次回の買い付け旅行までお預けになりました。


もし、コペンハーゲンに行く機会があれば、ぜひ街にたくさんある美術館を楽しんでみてくださいね。



【バックナンバー】

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#7LagomにFikaしよう!

#6「北欧モダンの父」が作った森も墓地

#5ショートステイ先の決め手

#4お宝探しが運ぶ出逢い

#3北欧の人たちが待ち望む日

#2Imayaのはじまり

#1自己紹介


【プロフィール】



鍋島 綾(富山県生まれ)

大学でデンマーク語と北欧社会福祉を専攻。会社員勤めの後、アンティークバイヤーとして、2016年から北欧と日本の間を行き来している。

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企画・編集/永井千晶