初夏は、スパイシーなものが美味しくなる季節。さりとて、カレーライスをじゃがいもにんじん玉ねぎ剝いて、イチから作るのはちょっと面倒、そんなときに私はカレーうどんをつくる。
もちろん寒い時期だってカレーうどんは美味しいけれど、夏に向けたこの時期に食卓に並べ、汗をかくのもまた一興ではないだろうか。
一つ目の鍋でうどんを茹でているあいだに、二つ目の鍋でも湯を沸かす。出汁用だ。
二つ目の鍋の湯のなかには、めんつゆと、カレーフレークを入れて溶かすのだ。カレー粉やカレールーを刻んだものでも事足りるが、カレーフレークがすぐ溶けてとろみもつき、美味しいのでおすすめしている。
めんつゆを入れることで、ぐっと和風の味になり、日本に生まれた私たちには食べやすい味になる。一度ぜひ、試してみてほしい。
うどんがゆであがったら、カレー出汁の中に入れて、ネギを散らせば完成だ。カレーライスをつくるよりもずっと早いのに、しっかりカレー風味で、とても美味しい。
ちなみに、うどんの麺はもちろん市販の柔らかいうどん麺でもいいのだけれど、私自身は乾麺が好きだ。乾麺のうどんは、茹で時間が長く、少なくとも9分くらいから12分くらいまでかかるものが多い。でもしっかりこしがあり食べ応えを感じる。
私は、ちょっとしたすき間時間にさっとつくれるレシピが好きだ。もちろん長時間を要し、鍋の前でことこと出来上がりを待つ楽しみもあるのをわかっていて、それでも仕事や家事に追われるなか、すぐにできて美味しく食べられるひと皿を愛している。
カレーフレークは、家族構成に小さなお子さんがいらっしゃるときはもちろん甘口で作ったらいいし、スパイシーなものが食べたい大人には、辛口で作ったらいいだろう。合わせるめんつゆのメーカーの違いによっても、さまざまな味のカレーうどんができそうだ。
トッピングは、私はだいたい輪切りのねぎを散らしているが、ゆでたまごにかまぼこ、ベーコンなどはいかがだろうか。麺類の上に、ちょっとした具が載るだけで、心が浮き立つ楽しみを知っているだろう。
初夏の時期、ちょっぴり辛いものを食べて、すっきりした気持ちになっていただきたい。一杯食べ終える頃には、カレーの持つスパイシーさできっと元気になっているはずだ。
【お知らせ】
帰省中に被災してから五ヵ月が経ちました。能登半島地震のチャリティー同人誌『波の花 風吹く』を、石川県出身の作家、紅玉いづき先生、編乃肌先生と刊行いたしました。私は輪島市出身の作家として小説とエッセイを寄稿しております。 経費以外の収益金は、義援金として石川県に送ります。私にできることのひとつとして、心を込め執筆しました。多くのかたに手に取ってもらえますように。詳細はこちらのリンクをご覧ください。ご一読いただけると幸いです。
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【プロフィール】
上田聡子(作家)
石川県輪島市出身。PHP文芸文庫「金沢 洋食屋ななかまど物語」、すずき出版月刊購読絵本原作「ゆきのひのふろふきだいこん」などを手掛ける。生まれ育った北陸の四季折々の風景とおいしい食べものが大好き。
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企画/永井千晶