献立は、組み合わせがものを言う。たとえば、メイン料理ががっつりお肉系だったり、すこし脂っぽかったりしたとき、副菜にはさっぱりした淡い味付けのものがほしくなったりする。
サラダでもいいのだけど、生野菜にドレッシングをかけてバリバリ食べる気分でもないな、というときによく食卓に上るのが、キャベツのあっさり着けだ。キャベツオンリーでもおいしいと思うけど、私はだいたいキャベツのほかにきゅうりと玉ねぎの薄切りも足している。
作り方はとても簡単。ひと口大に切ったキャベツ、斜め薄切りにしたきゅうり、玉ねぎの薄切りを用意する。それをビニール袋にがさがさと入れて、そこに白だし少量(白だしは、味が濃いので少しだけにしてください)とすし酢を適量入れる。ぜんたいがひたひたと浸るくらいで良い。
ビニール袋の口を閉じて、袋の外からよくもみこみ、冷蔵庫でニ十分ほど置けば、すぐに食べられる一品ができあがりだ。白だしの和風の味と香りに、すし酢のまるい酸味が食欲をそそり、残暑にばてているときでも食べやすい。
野菜だけの料理が、味気なくて苦手という人も多いと思うけれど、いったん野菜そのものが持つ滋味に気が付いてしまうと、もっともっとと食べたくなる。
ダイエットに置いてもそのヘルシーさからたくさん食べても罪悪感がないし、さっぱりしゃきしゃきした食感も楽しい。私は、スーパーに行くのが大好きなのだけど、その理由は、そこにならぶ生鮮食品から、何か元気をもらえるからだ。新鮮なものは、いつだって力に満ちている。
漬けて20分ですぐ食べられるあっさり漬けだけれど、冷蔵庫で一日置いたものは、しっかり味が染みて、また玉ねぎがマリネされてこれまたすごく美味しい。日持ちの期限に気を配りながら、少し置いたものも試してほしい。彩りがほしかったら、にんじんを入れたらあざやかになってきれいだと思う。
今年の夏は暑かった。読者のみなさまに関しても、そろそろ夏の疲れが出てくるころだと思う。体をいたわるには、運動もさながら食事と睡眠がやはり大事だ。あっさり漬けで、そろそろ出てくる新米をいただくのはどうだろうか。自分のお手製の「ごはんの友」の一品は、きっとほかほかの炊き立てごはんを、いっそう美味しくしてくれるはずだ。
これから目白押しの秋の味覚を楽しみにしながら、しっかりと体を整えておきたいものである。
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【プロフィール】
上田聡子(作家)
石川県輪島市出身。PHP文芸文庫「金沢 洋食屋ななかまど物語」、すずき出版月刊購読絵本原作「ゆきのひのふろふきだいこん」などを手掛ける。生まれ育った北陸の四季折々の風景とおいしい食べものが大好き。
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企画/永井千晶