朝晩、冷え込む季節になってきた。温かい煮物が美味しくなる季節である。煮物の定番は、醤油・みりん・酒・砂糖・だしで煮込むレシピで、こちらは肉じゃがだったり切り干し大根やひじきの煮ものだったりするが、いつもそればかりでは飽きてしまう。
たまに醤油味以外の煮ものを食べたい。そう思って、試行錯誤の結果生まれたのが「白だしと水、柚子こしょうでつくる煮物」だ。今回は、かぶとかぶの葉、さつまあげをその味で煮てみた。
かぶは、食べやすくひと口大に切り、葉も同様に等分にして切る。さつまあげも、大きければ半分や四等分に切っておく。
鍋に水と白だしを入れ、丁度よい味付けにする。(白だしは味が濃いので、入れすぎないように気を付けて)そこにチューブ香辛料の柚子こしょうを2センチほど入れ、全体をかきまぜて火にかける。
鍋の中の煮汁が沸騰したら、かぶ、かぶの葉、さつまあげを入れてさっと炊く。かぶに火が通ったらできあがりだ。
ほんのり香る白だしの柔らかい味に、ぴりりと柚子こしょうのアクセントが効いて、体もあたたまる美味しい一皿のできあがりだ。なんなら、秋ということもあるし、季節のきのこを入れても美味しくなるはずだ。また、さつまあげのかわりに、海老やベビーホタテなどを合わせてもよいと思う。鱈や鮭もきっといいだろう。
冬は、大根ももちろん美味しいけど、私はかぶが大好きである。ポトフなどの煮物にすると、大根よりも軟らかく、口のなかでほろっと崩れる。この歯ざわりがたまらない。
また、さつまあげは煮物にすると、それ自体から動物性の美味しい出汁がでる。一緒に煮る野菜に、ほのかに美味しい風味がついて、最高だ。
煮物は組み合わせパターンが数かぎりなくあるけれども、それを鑑みたとしても、この「白だし、水、柚子こしょう」での味付けは、どのパターンの煮物でも美味しく仕上がりそうに思える。一瞬「かぼちゃとかさつまいもみたいな、甘い味の野菜は合わないかな」とも思ったが、今度試してみようと思う。案外合って、驚くかもしれない。だって、すいかにだって塩を振るんだから、柚子こしょうの風味は、逆に甘い味を引き立ててくれるかも。
こうして、適当レシピではあるが、私の煮ものバリエーションが増えていく。スーパーに行くのが大好きな私は、野菜棚の前に行くと元気になる。それはたぶん、野菜が生きているからだ。丁寧に調理して、美味しくありがたく、命を食べてあげたいなと今日も思う。
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【プロフィール】
上田聡子(作家)
石川県輪島市出身。PHP文芸文庫「金沢 洋食屋ななかまど物語」、すずき出版月刊購読絵本原作「ゆきのひのふろふきだいこん」などを手掛ける。生まれ育った北陸の四季折々の風景とおいしい食べものが大好き。
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企画/永井千晶