皆さんこんにちは 急に朝晩めっきり冷え込んできましたね。日が暮れるのも早くなり、いよいよ冬の到来です。
今回は労災保険(労働者災害補償保険)についてお話ししようと思います。
労災保険とは?
労働者の業務災害や通勤災害による負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行う制度です。もともとは事業主の責任である業務災害に対する補償だけの保険だったのですが、現在は通勤途中に災害にあった場合も労災保険の対象になっています。ただし、業務災害と通勤災害とは区別されています。
業務災害とは?
災害発生時に事業主の指示を受けて仕事をしていたこと(業務遂行性)と災害の原因が業務であること(業務起因性)という二つの条件を満たした場合を業務災害と言います。
例えば、調理をする仕事で調理をしているときに誤って包丁で指を切ったという場合などは業務災害だとはっきり言えますが、業務災害なのかどうか迷う場合も結構あります。
1.仕事中にトイレに行って滑って転んだ
トイレに行っている間は仕事をしていたわけではありませんが、生理的に必要な行為に関しては業務災害として取り扱われます。
2.会社のリクレーションで野球をして肩を脱臼した。
会社のリクレーション参加が義務であれば業務災害となり、任意参加であれば業務中ではないので業務災害にはなりません。
3.仕事時間中にパソコンを打っていたが、必要な書類を取りに行こうとして立ち上がった時にぎっくり腰になった。
仕事時間中ではあるものの、何か重い物を運んでいたという事もなく、たまたま仕事中に発症はしたけれど、普段の生活習慣(猫背、運動不足など)によって起こることも多いので業務災害として認められない可能性が高いです。
また、仕事中であっても仕事とは関係ないことをしていた場合なども業務災害とは認められない場合もあります。
実際の状況で、業務災害なのかどうか迷う場合もありますので、労働基準監督署の労災課に確認してみることも大切かと思います。
健康保険を使ってもいいの?
健康保険は業務災害以外の負傷、疾病、障害、死亡等について支払われるものなので、業務災害で健康保険を使う事はできません。
業務中や通勤途中に交通事故にあった場合は?
自動車保険と労災保険の両方から補償してもらうことはできません。一部労災保険を使い、一部自動車保険を使うというようなことは可能です。また、労災保険では物損などの補償は一切ありません。
自動車事故が他の自動車がぶつかってきたなど他の人のせいで起こった場合(第三者行為と言います)には労災保険を使うこともできますが、第三者(加害者)が損害賠償する義務がありますので政府が第三者(加害者)に求償してかかった費用を支払ってもらうことになっています。
師走というだけあって、人々が忙しく走り回る時期ですが、慌てて怪我をしないように気を付けて過ごしたいですね。
「社労士マルコ」こと
社会保険労務士法人アシスト人事
代表社員 宮本 敦子
(情報は、2024年12月1日時点のものです。)