『愉しみとやま』#5あるようでない!?野生のキノコ狩りツアー

2023/11/15 12:00:00

キノコ狩りと聞くと、北欧の森で、網カゴを手にムーミンが…、と勝手に異国なイメージを持っていた私。まさか、地元富山でキノコ狩りができるなんて!!春の山菜、秋のキノコ。富山市八尾町の大長谷は秋も豊か。


『大長谷 森のキノコでイタリアンツアー』は、ベテランガイドと一緒に森の中でキノコを探し、その後は、採れたてキノコを使ったイタリアンを食すという、食いしん坊にはたまらないもの。


なんでも、野生のキノコを探すツアーは、全国的に見てもあまりないそうで、ツアー日程が告知されるや否や、即満席になってしまう人気っぷり。11年前のツアー開始から参加者は、のべ800人だそう。ワンシーズンの実施期間は限られるだろうに、いや~、スゴイ!!


私が参加した日は、遠くは東京、京都から、そして今シーズン2回目というキノコ狩りLOVEなフレンチシェフ(城端在住)までいらっしゃいましたよ。


「え~っと、はじめにダメなキノコだけ言うとくちゃ」

聞き覚えのあるお声は、光進翁!!

>>#2 里山で女王に出会った


春の山菜に続き、秋はキノコ採りの名ガイド。元ハンターの村上光進さんが一緒なら、心配ない。つやつやした美味しそうなキノコをお持ちではないですか!



「ここね、裂いてみられ。芯のところが、黒くなっているのが毒キノコ」


ツキヨダケ(月夜茸)という、なんともロマンチックな名前の毒キノコ。月夜に発光するため、その姿をカメラに収めるファンも多いのだとか。でも食べたら、絶対ダメなやつ。


「あと、2つほどあるけど、それはその都度、言うちゃ」


大長谷の里山に分け入る。原木シイタケなら、祖母の家で見たことがある。が、ナメコは初めて。つやつや、ぷるんぷるんで、なんてかわいいんだろう!


ナメコのつやつやは本当にウエッティで、スーパーのそれとは、全く違う。100均で購入した園芸用手袋は、指先があっと言う間にべちょぬれ。キノコ狩りには、お皿洗いに使うビニール手袋がふさわしいと、お隣の参加者を見て理解した。



杉林の土の上から生えるスギエダタケ(杉枝茸)。白い傘が美しい。お吸い物によいそう


マットな表情がクールなクリタケ(栗茸)。その名のとおり栗の木に多く発生する


不思議なもので、よーく目をこらせば、どんどんキノコが見えてくる。


これ、食べられますか?


「それは、ダメ。この緑は見るからに美味しくなさそうでしょう」


と言われるけど…。私には、野生に生えているキノコがどれも美味そうに見えてしまう。


これは、食べられますか?ひらひらして美味しいそうですけど。

「それも、ダメ…。まぁ、肝臓が強くないとダメだな…」と、フレンチシェフ。

これはどうですか?食べられますか?


「それは…、ん~食べても美味しくないかな」


これは~?これは~?これは、食べられますか~?と、たずね続けることに、若干の恥ずかしさを覚えながら、でも、繰り返す。だって毒キノコに当たりたくない。


これ、食べられますか?


「お、モタセや」


この子は、ナラタケ(楢茸)。コナラやミズナラなどに生えるそうだ。そして、地方名が多いとされている。北海道では「ボリボリ」。新潟では「アシナガ」。鳥取では「ザーザー」。もはや、同じキノコを指している感もないが、それだけ全国的に親しみ食されてきたということなのだろう。


ここ大長谷エリアで「モタセ」と呼ばれるナラタケは、つなぎ目がポイントで見分けがつきやすい。これもなかなか美味なキノコだそう。


山菜の時もそうだったけれど、キノコも同じ。山の恵みは、小さなはものを残し、大きく育ったものだけを採る。1週間もたてば、キノコも育ち、どんどん採れる種類も入れ替わっていく。


そして、大長谷のお隣、利賀にあってこちらに無いもの。城端の森に無くてこちらにあるもの等々…。木の種類、植わり方、標高で、出てくるキノコは全然違うらしい。それが楽しくて、城端のフレンチシェフは何度も参加しているのだそうだ。


たくさん採れました!


さ~て、お待ちかね森恵美シェフ(村上山荘)のイタリアン。



なんと、ナメコの天ぷら!ナメコって天ぷらにできるんですか!?


「いや~、もう命がけで揚げたわよ~」


ですよね…。だって、ものすごい水分量、そして、よく油の高温に耐えたなナメコ!


焼いただけのシイタケ。なんて香り高く、噛み応えがあるんでしょう。原木シイタケ万歳!


「きのうまでなかったのに、今日はクリタケとヒラタケが新物で入ってきたからね。大長谷スペシャルピザで~す」


ヒラタケ、クリタケ、イノシシのベーコン、大長谷のクレソンに、光進翁が育てたジャガイモが乗った大長谷の恵みてんこもりピザ。50センチ、いや、1メートル離れていても、香るキノコ。野生のキノコって、すごいんだな。


濃いのは香りだけじゃなく、味わいも。言ってしまえば、みんな同じ形状のキノコなのに、うま味が全部ぜんぜん違う。生息する木が違うから、当然、味も変わるのだろうけど。それってキノコを通して、木を味わっているってこと!?


素材力が最強な森の恵み同士を、まるっと整えてしまう森恵美シェフの腕に感服です。秋も大長谷に来て、本当によかった。ごちそうさまでした!


最後におまけ。このキノコ、見たことありますか?


背後に、黒くドロンドロンに溶けたキノコの残骸と思しきものが…。

ササクレヒトヨダケというキノコ。ささくれた感じの表面が特徴。もともとは白いが、成熟すると胞子が黒く溶け出し一夜で滴り落ちてしまうという。ホラーじゃないか‥


ビジュアル的に絶対に食べられないだろうと思い、キノコ図鑑で調べたところ、【食用に向くタイプ:グラタン、和え物、揚げ物、煮込み料理など】とあった。本当に、キノコは分からない。


>>#4比べてみないと、分からないこと


◎協力

・村上山荘

WEB:http://www.nagatan.jp/


・エコロの森

★今シーズン最後のキノコツアーは、11月24日(金)に開催予定です!詳しくはWEBへ♪

WEB:http://ecolonomori.com/

Facebook:https://www.facebook.com/ecolonomori.jp

E-mail:info@ecolonomori.com

文/永井千晶